お香の歴史

人と香りのはじまり。

はるか昔。人は火を手に入れたことで、香りを手に入れ、木を燃やすことで、すばらしい芳香をもたらすことを知りました。しかし、火は恐ろしいものであり、神へ通ずるものであることも同時に知ることとなりました。

煙は火から生まれ、そして天に還っていく。煙は人々の祈りを天へ運ぶ使者だと言われてきたのです。

香りを意味するperfumeは、ラテン語の「煙を通して」が語源。
香煙を神に捧げ、煙を通して神に祈る。古代において、香りは祈りと深い関わりを持っています。

日本にお香が伝わる。

日本へ「お香」が伝わってきたのは、仏教の伝来(538年)とともにと言われています。

そして、もう一つ日本伝来に関するお話があるのでご紹介します。

日本のお香についての最古の記述が「日本書紀」にあります。

「推古三年夏四月、沈水、漂着於淡路嶋、其大一圍。嶋人、不知沈水、以交薪焼於竈。其烟氣遠薫、則異以献之。」

これを訳すと、

「推古天皇3年(西暦595年)の夏4月、ひと囲いほどの香木(沈香)が淡路島に漂着。島民は沈香を知らず、薪と共に焼いた。するとその煙は遠くまで類い希なる良い薫りを漂わせた。そこで、これは不思議だと思い朝廷に献上した。」

島民が献上したお相手とは、聖徳太子で『これは沈である』と教えられた。との記述もされています。